労働者供給事業は違法です

労働者供給事業

労働者供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることを労働者供給といいます。これには大きく分けて供給元と労働者の間に雇用関係がないもの(右図その1)と、供給元と労働者の間に雇用関係があるが、供給先に労働者を雇用させることを約して行われるもの(右図その2)の2種類があります。
その1については、提供元企業と労働者との間に雇用関係がないこと、その2については、提供先と労働者との間に雇用関係があるあることが労働者派遣と決定的に違う点です。

この労働者供給事業は原則として禁止されています。職業安定法第44条及び第45条では次のように明記されています
第44条(労働者供給事業の禁止)何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
第45条(労働者供給事業の許可)労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
つまり、労働組合が行う許可された労働者供給事業以外は違法だということです。職業安定法第44条に違反すると、供給元、供給先それぞれ1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。

この労働者供給事業の形態に限りなく近いのが在籍出向です。出向元と雇用関係を維持しながら出向先でも雇用関係を結び出向先の指揮命令を受ける形態を在籍出向といいますが、これは労働者供給その2の形と同じです。この在籍出向が違法でないと判断される条件は、在籍出向を業として行われていない、つまり企業利益を上げる等の目的で反復継続してまたは反復継続の意志を持って行われていないことが絶対条件となります。

二重派遣(あるいは多重派遣)は労働者供給事業です

二重派遣

派遣元が必要な人員を確保することができなくて、他の派遣会社から派遣労働者を受け入れて派遣先に送り込むことを二重派遣といいます。
この場合、労働者と派遣元とは雇用関係がありませんから上図の労働者供給その1のパターンに当てはまります。

そもそも、なぜこの二重派遣(あるいは多重派遣)がダメなのかというと、派遣法では派遣労働者を守るために派遣元、派遣先あるいは両方に様々な措置義務があり責任の所在を定義していますが、労働者が不利益を被る事態が起きたときの責任が不明確になるからです。

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